お遍路体験記 4日目 2017年3月10日

 6時半に宿を出発。
 11番、藤井寺まで車で送ってもらう。歩くと言い張っていたが、宿のご主人に、11番から12番へ向かう道が、いかにハードか聞かされ、結局、説得される。

 11番から12番の間の遍路道は、通称「遍路ころがし」と呼ばれている。道が険しく、途中でリタイアする人もいるらしい。

 いくらハードな道といっても、地図で見たら、たった13キロなんやけどねえ。ちょっと不安になってきた……。

「まあ、めちゃくちゃハードって訳ではないですけどね。大丈夫」と、車の中でご主人は陽気に言うけれども、果たして……。


 11番、藤井寺着。


 11番は、この辺り。

 7時に御朱印をいただいて、納経所近くのベンチで休憩していると、60代ぐらいの男性が「12番まで、一緒に歩きませんか?」と声を掛けてくださった。
 気持ちは嬉しいけれど、なんせ私は歩くのが遅いので、迷惑をかけたらあかんから、とお断りした。

 休憩を挟みながら、えっちらおっちら歩く。


「へんろころがし 1/6」の標識が。
 こういう道が6つあるということか。


 長い、超長い!
 しかも、かなり急な坂道もある。荷物がずっしりと肩にのしかかっている。

 休憩所で、飲み水を汲んで、がぶがぶ飲んだ。
 イタリア人男性とフランス人女性と日系アメリカ人男性と日本人男性のインターナショナルなグループに出会う。昨晩、通夜堂(タダで泊まれる小屋)で一緒になったらしい。イタリアのお菓子を分けてもらった。
 さっき、同行を断ったおっちゃんに会った。おっちゃんは、どうやら今晩、私と同じ宿に泊まる予定みたい。

 私が一番、歩くのが遅そうなので、一足先に出発した。が、すぐに追い抜かれる。

 夕方、「へんろころがし 6/6」の標識までやってきた。あともうちょっと、イエーイ! と思ったが、甘かった。6/6が長いこと、長いこと! ぜんぜん着かん! しかも、道が険しい。
 寺の鐘が聞こえてくる。17時を告げる鐘だ。御朱印の受付時間に間に合わなかった……。
 
 力尽き、岩の上に座り込む。
 皆、上まで行ってしまったようで、誰も通らない。暗くなってくるし、心細いし、疲れたしで茫然とする。
 
 岩の上で、Mさんに電話をして弱音を吐く。
 Mさんは僧籍を持っていて、歩き遍路も経験済みで、先達(お遍路のエキスパートとして初心者を引率する役)もしてはるから、気持ちをわかってくれるかな、と。

 電話してみたら、Mさんはネットゲーム中だった。
「宏美さんが修行してるのに、僕がネットゲーム中とは」って言うから、笑ってしまった。
 いつまでも愚痴っていても、歩かないことには宿に着けないので、一歩でも歩くと決める。電話を切った。

 すっかり暗くなった。夜の山道は怖い!
 しかも、道に迷った。焦る。
「今日、予約している者ですが……」と宿に電話を入れると、なんと、予約が取れていなかった! 昨日、確かに予約したのに!
 宿の人も部屋が空いておらず困っていたが、かといって私を野宿させる訳にはいかないので、とにかく12番、焼山寺まで車で迎えにいくと言ってくださる。


 焼山寺の不動明王様が見えた。暗くて怖い。


 今日の宿。味のある佇まい。


「ごめんねー、うっかり、予約ができていなかったみたいで」と奥さん。部屋はなんとかしてくれるらしい。泊めてもらえるだけで、ありがたい。

 さっき、休憩所であったインターナショナル・グループの一人が、食堂に上がり込んで味噌汁を飲んでいた。日系アメリカ人の彼。近くで野宿するのだが、ちゃっかりと味噌汁を奢ってもらったらしい。
 この彼と、結構、気が合う。25歳なので、もうちょっと年が近かったら友達になれたのに残念だ。
 日本で生まれて、幼い時に交通事故で両親を亡くし、アメリカに住む夫婦にもらわれていったんだって。母親が中東系なので、トルコ語も話せるらしい。今は、フランス在住。重い病気にかかっていて、将来は失明のリスクが高いそうだ。目が見えなくなる恐怖で悩んで、お遍路に来ている、とのこと。
 今、彼女が超ほしいけど、フランス人の女性はなかなか一筋縄でないかないという話を聞きながら、奥さんの作った夕食をいただく。

 足を傷めていたので、宿を手伝っている30代半ばのお兄ちゃんに、湿布を譲ってもらった。
 宿の主人が寝泊まりしている部屋の隣に泊めてもらった。

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