お遍路体験記 5日目 2017年3月11日

 朝、寝坊した……。
 6時半に起きて、宿のお兄ちゃんが12番、焼山寺まで車で送ってくれることになっていた。
 なのに、起きたら7時半……。昨日の遍路ころがしに、体が堪えたみたいだ。


 お兄ちゃんに、遅刻を謝り、急いで朝ご飯を食べる。

 車に乗り込むが、お兄ちゃんが、明らかに機嫌が悪い。
「今回は仕方ないけど、連絡はもっと早くしないとだめですよ。宿が心配するから」とのお説教を受ける。
 宿を予約した際、「焼山寺まで着いたら連絡ください」と言われたの。で、昨日、焼山寺に着いたのが18時だったので、18時に連絡したら、宿側のミスで予約ができていなくてテンパったという流れ。
 最低でも17時までに連絡を入れるのがマナーだと教えられる。
 どうやら、お遍路の泊まる民宿は、17時ぐらいに着かない場合は、一旦、連絡を入れなあかんらしい。夕飯が17時半から18時ぐらいで、皆で揃って食べるルールっぽい。結構、めんどくさい……。まあ、納経の時間が17時までやから、大体、皆、それぐらいの時間には宿に入って、次の日に向けて体を休めているんだけどね。私の場合は、歩くのが遅いので……。

 昨日は連絡する時間が遅かったうえに、今日は寝坊したから、いろいろ迷惑かけたのは確か。

 焼山寺に車で来ると、駐車場を利用しなくても300円を徴収されるんだって。お兄ちゃんが寺務所に寄って300円を払おうとするので、私が払うと申し出た。
 でも、「300円は、お接待で払うことに決めているから」と受け取ってくれない。迷惑をかけたうえに300円も払わせて申し訳ないなーと思ったけど、昨日、車の中でお兄ちゃんと話をしたとき、「僕も歩き遍路をしたことがあって、四国でいろんな人にお世話になって感動した。特にお世話になった人に、『どうやってご恩をお返ししたらいいですか』って聞いたら、『私に直接返してくれなくていいから、他の人が困っていたら助けてあげてほしい。巡り巡っていくものだから』って言われた。だから、ここで働きながら、お遍路をしている人の手助けがしたい」と熱く語っていた。
 だから、300円も、私が払うと強く主張するのは却って失礼かな、と。お兄ちゃんの感謝して親切を受けることにした。


 12番、焼山寺。


 杖杉庵、お大師様と衛門三郎の像。


 昔、衛門三郎という人がいて、托鉢僧に出会ったけど、つれなくあしらったんやって。だけど、後になって托鉢僧の正体がお大師様と知り、後悔した衛門三郎は、四国を巡るお大師様に謝りにいく旅に出た。お大師様と反対回りに巡れば、どこかでぶつかると考えて、反対回りで四国を巡る。なかなか会えなかったけど、4回目でやっと会えて、謝ることができたんだって。
 うろ覚えやから、間違ってたらごめん。だいたい、そんな感じ。
 お大師様と衛門三郎の像の前で、中年夫婦の夫の方が、妻にドヤ顔で説明していたのを、隣で黙って聞いてたの。夫婦で車で周れるなんて、いいなー。私も蘊蓄を披露してくれる、頼りがいのある夫の説明を聞きながら周りたい。一人で徒歩で周っている現実たるや……。

 杖杉庵の近くで、ジャージの上衣を発見。そういえば、昨夜の宿で一緒だったおっちゃん(遍路ころがしを一緒に歩こうと誘ってくれたおっちゃん)が、「ジャージの上衣を落とした」って騒いではったなぁ。拾って帰る。

 荷物を置かせてもらっていたので、一旦、宿に戻った。

 奥さんに、ジャージの上衣を拾ったので、昨日、落とした人に電話を架けたい旨を伝える。宿帳を見せてもらう。確か、おっちゃんは、大阪のS市に住んでいると言っていた。住所を頼りに特定。電話を架け、拾ったジャージの特徴を知らせる。やはり、おっちゃんの落としたジャージだった。

 おっちゃんは、今夜は13番、大日寺の宿坊に泊まる予定、とのこと。私は、大日寺近くの民宿に予約をしていた。予約のときに、「私、歩くの遅いので、もしかしたら着くのが夜になるかもしれないですけど、構いませんか」と尋ねておいた。すると、「うちは、何時になっても構いませんよ~」との回答。なので、焦らずに歩くことができそうだった。

 おっちゃんに、「大日寺の近くまで来たら、電話しますので、宿坊から出てきてもらえませんか。ちょっと遅くなって、夜になるかもしれませんけど。宿は、遅くなっても構わないと言ってくれてるんで、頑張って歩こうと思います」と伝えた。
 電話を切る。電話のやりとりを聞いていた奥さんが起こり出した。
 結構、長い間、怒られていたのだが、怒られた要点を説明すると……

・いくら宿がOKしたからといって、夜に着くのは非常識
・17時までに着かないときは、宿に電話を入れろ。昨日だってうちに連絡くれるのが遅かったから迷惑だった
・朝寝坊した。早くしないとあなたのスケジュールが遅れると思って、6時半に朝ご飯を用意していた。そのために、こっちは6時に起きた。お兄ちゃんなんて、5時半に起きて、準備をしていた。
・お兄ちゃんに迷惑を掛けた。本来、お兄ちゃんがあなたを寺まで送迎する義務はない。あなたが昨日、着くのが遅くて御朱印がもらえなかったら、サービスで連れていってやったんや。焼山寺の駐車代300円だって、お兄ちゃんが負担しているんや。
・何が何でも歩こうとするのは、我儘。宿のことを考えて、遅くなりそうなときはタクシーを拾って早めに着く努力をしろ。

 確かに、今朝の寝坊は私が悪い。でも、私にかて言い分はある。
 しかし、二度とこの宿に泊まる気はないこともあり、その時は、何も言い返せず。「すみませんでした、言ってくださって、ありがとうございます」と言って耐えた。かなり凹む。


 私の言い分。昨日、部屋が取れてなくてテンパったのは、宿のせいやんか。客用の部屋がなくて、泊めてもらった部屋は↑これやで! ぐちゃぐちゃやし、臭いもすごいし、夫婦の寝室への通り道やから、着替えているところに主人が入ってくるという環境でも、こっちは「泊めてもらえるだけ、ありがたい」と思って、何も文句を言わんかったのに。
 いくら安く泊まる場所を提供してくれるからって、客商売やで。なんでそんなに宿に合わせなあかんねん。夜遅く着いて、夕飯が片付かなくて困るなら、夕飯なしの素泊まりでもこっちは構わんねんで。コンビニだってあるし。
 嫌やわ~~~~~。納得できへん。
 心ではムッとしていたが、頭を下げて、宿を出る。


 また歩き出す。川はきれいだった。でも、心は晴れない。


 16時ごろ、「やっぱり遅くなりそうです」と宿に連絡を入れておいた。
 19時ごろに、歩いている私を宿の車が迎えに来てくれた。歩きたかったんだけど、きっと早く食事を食べてもらいたいのだろう。あんまり我儘も言えない。
 一応、徳島県と高知県の県境は歩いて越えた。

 おっちゃんに電話。宿の前までジャージを取りにきてもらう。渡せて、ほっとした。


 夕食。ご主人に、「あなたが歩くのが遅いのは、能力のせいじゃない。能力は、皆、大体、同じ」と指摘を受ける。確かに、15キロは重い! 女性だったら、4キロぐらいに留めるのがベストらしい。荷物を整理して、いくつか送り返そう。それでも、仕事用のパソコンと資料があるから、人より重くなるのは仕方ない。


 枇杷の油のお接待。疲れた足に塗るといいみたい。

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