学生時代に言語学の先生と、vの発音とカタカナ表記について語り合った思い出がある。
バニラ、ボイス、バイオリン。
これらの外来語のバビブベボは、もともとvの音に由来する。
vanilla、voice、violinといったように、bではなくvである。
bと区別するために、vの音をカタカナ表記する時、ヴァヴィヴヴェヴォと記す人がいる。確かにバビブベボよりも、元のvの音に近い。violinをヴァイオリンと書いたほうが、元の英語のスペルを思い出しやすいかもしれない。「リ」は「li」だか「ri」だか、カタカナでは書き分けられないけれども。
ただ、ヴァニラよりもバニラのほうが見慣れているし、親しみやすい印象を受ける。それに日本語で話す時、わざわざ英語っぽく発音する英語かぶれの人以外は、vanillaはバニラと発音する。だったらやっぱり「バ」で良くない?
バビブベボと書くべきか、ヴァヴィヴヴェヴォにすべきか。
私の意見は、「どっちでもいいのでは?」だ。
だって、どっちにしたって、英語の発音を忠実に再現は不可能だ。
vavivuvevoをヴァヴィヴヴェヴォと書く。ここまでは良い。問題は、ここからだ。
vavivuvevoをヴァヴィヴヴェヴォと書く例を見て、「おおっ、バビブベボはヴァヴィヴヴェヴォと書いたほうが英語っぽいのか」と思う人が出てくる。さらに、そう思った人たちの中に、babibubeboまでヴァヴィヴヴェヴォで書く人が登場する。
Butterfly(蝶々)をヴァタフライとか。こうなると、カオスである。
同じ現象が、イタリア語でも起こっている。
イタリア語で「美味しい」を意味する単語は「buono」である。日本のイタリア料理店で、この単語を入れた店名が多いこと多いこと。
で、buonoのカタカナ表記なのだが……
ヴォーノ、ボーノ、ブォーノで割れている。
ヴォーノは個人的に、すごく気になる。
この中だったら、イタリア語の音に一番近い表記はブォーノだろうか。でも、「ブォ」って書き方、日本語でOKなのかなぁ。小さい「オ」ではなく、大きい「オ」でブオーノと書くのがイタリア語の音に一番近いと思うけど。私だったら、ブオーノにするかなぁ。
いやいや、店の名前にbuonoを入れること自体が、そもそもイタリア人の感覚から遠い気がする。だって、考えてみて。イタリアを旅していて、「美味しい日本食」って名前の日本食レストランがあったら、入ってみたい? 店は美味しいもの出すのは当たり前や。わざわざ「美味しい」って書かれていたら、逆に味について勘ぐりたくなるよね。そう思わない?
余談だけど、↓この店が気になっている。(店名とロゴにはモザイクを掛けてみた)

イタリアン・ダイニングのようだ。緑色の部分に書かれたイタリア語が気になる。
CIAO!
こんにちは!
A BELLA ITALIA!
素晴らしいイタリアに!
UNA PIZZA DELIZIOZA E VINO SONO QUI
美味しいピザとワインがここにあります
(この書き方だと、ピザは1枚しかないことになるけど、それでいいのか)
IL TEMPO PIACEVOLE STA ASPETTANDO
心地良い時間が待っています
(日本語にするとそんなに変に感じないかもしれないけど、擬人法に違和感あり。Google翻訳で訳したイタリア語をそのまま使った疑惑が)
“GRAZIE”
「ありがとう」
(なぜお礼を言いたし……それに、なんでこれだけ””で括りたし……)
しかも、緑の背景に書かれたイタリア語の上に、赤い背景に何やら色々と書かれているけど、もはやイタリア語ですらない。スペイン語だ。