綾辻行人さん『十角館の殺人』

 ツイッターで知り合った方に薦められて読みましたが……

 藤子不二雄感がハンパなかった!

 つまりは、「まさに新本格ミステリの王道」って感じ。漫画・アニメでたとえれば、ドラえもん級の安定感。

 綾辻先生はトークイベントでお顔を拝見したことがあるけど、ベレー帽っぽい帽子を被ってはりました。なので余計に藤子不二雄を連想するのかもしれません。

「どこかで読んだことのある感じ」、既視感があります。アガサ・クリスティの『そして誰もいなくなった』との類似は否めないけれども、それでも全面的に綾辻先生が悪いわけではないでしょう。後続のクリエイターたちが、綾辻先生の真似をした結果なのかな、と。「この設定、たしか名探偵コナンでもあったような」とか……。それだけ影響が大きい作品なのでしょうね。

 犯人を当てる醍醐味のあるスタイルのミステリ作品では、どうしても登場人物が多くなりがち(登場人物が2、3人だと、犯人を当てる楽しみが減る)。そこで困るのが、登場人物の多さがゆえの読者の混乱。この人物はこんな性格で……と、キャラクターと名前が一致するまで、読者はストレスを抱えがちです。

『十角館の殺人』では、主要登場人物が大学のミステリー研究会のメンバーたち。互いに海外ミステリの作家の名前で呼び合っています。アガサと呼ばれる女子は好奇心旺盛で、まさにアガサ・クリスティっぽい。エラリーもエラリー・クイーンの作品を連想させる性格。

 これはうまいやり方! 海外ミステリが好きな読者には、たまらない趣向です。それぞれの作家たちの作風と関連付けて『十角館~』の登場人物をばっちり印象づけられます。

 登場人物の中に、オルツィと呼ばれる女の子が登場します。アガサと違っておとなしくて地味な感じの子。

 はずかしながら、『十角館~』を読むまで、バロネス・オルツィという女性作家を知りませんでした。ちょっと読んでみたくなって調べたけど、代表作が↓このあたりっぽいです。

 表紙からしてたしかに地味そう……。「読みたい本リスト」に入れておきます。

 最後に余談ですが、数年前に東京の光文社本社の1階にあった(今は閉鎖済み)、ミステリー文学資料館で、綾辻行人展を観た思い出があります。綾辻先生の縁の品や写真パネルが展示されていました。展示物の中に、若い頃に綾辻先生が鮎川哲也さんに宛てた暑中見舞いハガキがあったのですが、苺のイラストが印刷されていてびっくりしました。暑中見舞いに苺て! なんという季節感のなさ! おちゃめすぎる!

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