原告側の求刑のとおり、無期懲役です。
強盗事件であるとはいえ、被害者が1人で凶悪事件としては初犯である被告人に対して無期懲役。他の判例を鑑みて考えるならば、量刑がやや重い気がします。もちろん遺族からしたら重い処罰を望むわけですが、第三者視点だと有期刑の可能性が十分にありました。
量刑が重くなった理由は、遺族の厳罰を望む強い要求と、被告人の反省のなさにあったでしょう。
ただ、本当に反省しているかなんて、外から見た態度だけではわかりません。
心の内を表現するのが極端に苦手な人はいます。口の上手い人ばかりが減刑されるようではいけない。「反省がない」のと「反省が表現できない」のと「何を反省すればよいのか理解できない」は分けて考える必要があるでしょう。
被告人は体が悪く、金銭面で困っていて、酒と煙草がやめられず、なおかつ孤独でした。現在60歳。無期懲役で仮釈放になるのはたいてい35年以上の刑期を要するので、おそらく一生、獄中で暮らすことになるでしょう。
刑務所に入れば治療をしてもらえますし、酒と煙草は強制的に絶たれます。誰かに常に見守られた状態です。本人には不本意でしょうが、一人暮らしを続けるよりも本人のためになる気もします。一生涯、塀の中で国が面倒を見ると保証するわけですから。
遺族も「いちおうは」納得でしょう。被害者を喪った悲しみは消えませんが、遺族の声が裁判官と裁判員に届いた点は納得がいくでしょうし、いろんな意味をひっくるめて無期懲役が最善の判決だったかもしれません。
被告人が控訴する可能性は十分に残っていますが。