お遍路体験記 41日目 2017年4月17日

 朝風呂に入っていたら、おばちゃんの5人グループがやってきた。
 タオルをお盆の代わりにして、アキラ100パーセントの物真似で盛り上がりはじめた。しかも、本物のアキラ100パーセントみたいにきっちり隠せているわけではなく、全部見えてるという……。朝からえらいもんを見てもうた。


 朝から雨。
 49番、浄土寺。


 50番、繁多寺。


 51番、石手寺(いしてじ)。
 雨が激しくなってきた。
 東大阪からきたご夫婦と知り合う。お2人には二十代のお嬢さんがいるんだって。お嬢さんは結婚しているけど、なかなか子どもができなくて悩んでいた。石手寺さんにお願いしたら子どもができるという噂を聞き付けて、お参りしたところ、なんと双子ができたらしい。
 今日は、東大阪から、双子懐妊のお礼参りに来たのだとか。


 道後温泉の前を通りかかる。私も入りたい。雨に濡れて寒いし。
 しかし、時間がない。渋々、素通り。


 地元の方に、お接待で缶コーヒーをいただく。

 道に迷う。雨なので、紙の地図も開きにくい。
 やばい。時間的に間に合わない。
 車で通りかかった男性が、「次の寺の場所を知っているから、良かったら送ろうか?」と申し出てくださる。
 お言葉に甘えて、乗せていただく。
 が、送り届けてくださった場所は、次にお参りすべき52番ではなく、53番だった。車に乗せてくださった方にお礼を言って、車を出る。52番までダッシュ。


 52番の門。ここから本堂まで、まだまだあった。


 52番、太山寺(たいさんじ)。


 53番、円明寺(えんみょうじ)まで、ダッシュで戻る。納経所の閉まるぎりぎり前に到着。


 
 お寺を出る。
 夕食を買うためにスーパーへ。ロッカーの前で濡れた衣服を拭いていたら、地元の人に話し掛けられた。
 私が大阪から来たことを告げると、「大阪には出張でよく行くけど、大阪の人って冷たいよね」と仰る。
 冷たいわけではないと思うよ。四国みたいにお遍路の文化はないから、初対面の人に話し掛けたりとかはしないけどね。話す切っ掛けが少ないだけで、ハートが冷たいわけではないと説得したが、あまり納得がいかない様子。


 本日の宿。


 布団の中に乾燥機を入れて、温かくしておいてくださった。
 細やかなおもてなしに感謝。


 手作りの甘酒をいただいた。あったまった。

お遍路体験記 40日目 2017年4月16日


 朝ご飯をたっぷり食べて出発。

 しばらく歩いていたら、背後から足音が。
 振り返りと、数日前に一緒に歩いた70代のおっちゃんがいた。
「どう? びっくりした? この前、後ろからつけられてビックリしたから、今回はこっちが驚かせようと思って。1キロぐらい前から黙ってついてきた」
 ええー?
 確かにこの前、後ろから追いついて驚かせたけれども、わざと尾行したわけじゃない。1キロもつけられていたと思うと、ちょっと怖いねんけど。
 嫌だなぁと思いつつ、歩く方向が一緒なので、同行することに。
 おっちゃんは、次の札所、46番、浄瑠璃寺の近くで泊まる予定らしい。近くの道後温泉で、同窓会があるんだって。お遍路を中断して、2日ほど滞在するらしい。
 私は今日中に、もう48番まで行く予定だから、おっちゃんとは46番でお別れになる。おっちゃんが2日間、道後温泉にいる間も私は先へ行くから、きっとこの先会うことはないだろう。浄瑠璃寺まで我慢。


 地元のボランティアの方にお接待を受けた。


 手作りのお味噌汁がおいしかった~。


 歩いていたら、おっちゃんの携帯電話が鳴った。
 同窓生からの電話だったらしく、歩きながら話し込むおっちゃん。
「今なぁ、彼女の歩いてるところ」と、自慢げに話す。
 ちょっと、私はいつからおっちゃんの彼女になったんや、と、心の中で突っ込む。
 電話が終わった後、同窓生と話したことで勢いがついたらしく、「3月7日という、同じ日にお遍路をスタートして、途中で何度もばったり会ったというのは、きっと運命にちがいない」とか、「70歳のおっちゃんなんか、興味ないよな……ないよな? どう?」とか、やたらしつこく聞いてくる。
 年齢の問題じゃなくて、お遍路という修行中の身でありながら、口説いてくる心構えがあかん。
 はっきり言ったほうがよかったのかもしれないけど、次の札所まで歩いたら、二度と会うこともないし、無暗に傷付ける必要もないと判断。
 同窓会で、「彼女ができた」とか自慢されるのは、ちょっと嫌やけどね。
 早く別れたくて、速足で歩いていたら、足先を指にぶつけて爪が剥がれた。


 46番、浄瑠璃寺。お遍路で賑わっていた。
 お参りをした後、おっちゃんと別れた。


 47番、八坂寺。


 右に極楽の絵、左に地獄の絵が描かれている。


 48番、西林寺(さいりんじ)。


 たかのこのホテル。
 インターネットで予約したけど、温泉もあって、いいホテルだった。民宿よりは、ちょっと高いけど、奮発しただけあった。連泊したい。
 3日ほど前に出会ったお遍路の方に再会した。話し相手がほしそうにしていたし、私もお話したかったけど、なんせ仕事に追われているもので……。
 後になって、愛想がなくて悪かったなぁと、後悔する。


 パソコン仕事をしながら、ディナーブッフェ。

お遍路体験記 39日目 2017年4月15日

 今朝はとりわけ足の調子が悪い。
 6時半に宿を出発して、気合いを入れて歩き出したのに、8時ごろに出発した人たちにどんどん抜かれる。
 先輩に似ている人も通り掛かって、「大丈夫? その調子じゃ、次の宿まで歩くのも無理じゃない?」と心配してくれた。昨日の夕飯では、ロビンくんにかかりっきりで、愛想がなくてごめんなさいと言いたかったけど、言いそびれたまま、歩き去る背中を見送った。


 宿の女将さんが作ってくださった、朝食用のお弁当。


「だんじり岩
 この十畳敷程ある大きな岩は、その昔弘法大師が四国八十八か所巡錫の時あまりの空腹と疲労のため自分の修行の足りなさに腹を立て、この岩の上で「だんじり(じだんだ)」を踏んで我慢されたそうです。
 その時踏んだ「だんじり」の足跡が岩に残っており、それ以来誰言うとなくこの岩を「だんじり岩」と呼ぶようになったそうです」

 なかなか人間らしくて素敵なエピソード。
 ↓これが、だんじり岩。

 言われてみれば、足跡っぽいものが見えるような、見えないような。


 この道で合っているのか不安になる。


 峠に到着。道、合ってたみたい。


 町に到着。ひな祭りの最中だった。
 全国から、処分に困ったひな人形を受け入れて飾っているらしい。


 ひな人形以外も混じっている。


 44番、大寶寺(だいほうじ)。ついに44番、八十八箇所ある札所の、ちょうど半分!


 本日の宿に寄って、ロッカーに荷物を置かせていただいた。身を軽くして、あと一箇所、行ってきま~す。


「八丁坂
 昔の人は、急なこの延長2,800mの坂道を、修行のへんろ道として選びました。
 弘法大師が開かれた岩屋寺は、霊場中最も修行に適した場所であるから、参道は俗界の道を行かず、峻険な修行道として八丁坂を『南無大師遍照金剛』を唱えながら登りました」


 ↑これが八丁坂。


「八丁坂の茶店跡
 ここは、野尻から中野村を経て槙ノ谷から上がる『打ちもどり』なしのコースとの出合い場所です。槙ノ谷は、昔、七鳥村の組内30戸程の人達が、この道こそ本来のこーすであることを示そうと意気込みを持って、延享5年(西暦1748年)に建てた『遍照金剛』と彫った大石碑が建っています」

 道標に「45番 岩屋寺1.9km」と書かれているけど、こういう道標に書かれた距離を信用してはいけないことを、これまでの遍路の旅を通して身をもって知った。
 たとえば、「あと3キロ」と書かれたところから1時間歩いたところに「あと4キロ」の標識がある場合だってある。歩いたのに、距離が長くなってるやん、と、何度突っ込んだことか。
 そして、書かれている距離よりも、たいてい実際の距離のほうが長い。


 この辺りから、「いったい、いつまで下りればいいんや」とぼやきたくなるほど続く下り坂。


「第45番 岩屋寺
 弘法大師以前に法華仙人という女修行者が籠っていたといわれます。鎌倉時代、一遍上人が参籠したことで有名です。四国巡拝の道筋が南予の海辺から瀬戸内の海岸へ移る転回点を占めています。
 海抜650mに位置し、寺名は勿論、「七鳥」の地名、「海岸山」の山号そのままに大自然との一体感を味わえる霊場です」
 

 風格のあるお寺。
 ごつごつした岩肌が露呈した場所があって、いかにも修行場といった感じ。
 来てよかった。


 小雨。
 思った以上に時間がかかり、夕飯の時間に間に合いそうにない。宿に迷惑をかけたくないので、ダッシュする。
 車遍路をされているご夫婦の車が停まり、「良かったら、乗せましょうか?」と申し出てくださった。ありがたく乗せていただく。


 今晩の泊まるところは、相部屋。
 相部屋しか空いていなかったの。女だけの宿泊客がおらず、相部屋といっても、1人で泊まることに。男性用の相部屋は、けっこう賑わっている様子だったけれども。
 ひな人形と泊まるのは、ちょっと怖い。


 相部屋しか空いていない理由は、中国の団体客の予約が入っていたからなの。でも、結局、団体客は来なかった。宿のご主人と女将さんが一生懸命食事の用意をして待っていたのに、いつまで経っても来ないから、電話連絡したら、「今日は道後温泉に泊まることにしたから、キャンセルで」って言われたらしい。
 キャンセル連絡もしないなんて。宿の損害を考えてあげてほしい。
「今日は皆さんに相部屋での宿泊をお願いしたり、いろいろご不便をおかけしたのに、すみませんねえ」とすまなさそうに仰る女将さん。
 女将さんのせいじゃないよねえ。

お遍路体験記 38日目 2017年4月14日


 相変わらず足は痛いけれども、空気はおいしい。


 麦茶のペットボトルに、高知県の海洋深層水が含まれている旨が書かれているけれど、四国限定やろうか。そういえば、高知を通過したときに、海洋深層水の工場をたくさん見かけた気がする。


 愛媛県の木を使った休憩所。木の匂いが香しい。机に突っ伏して、しばらくうたた寝。


 お遍路の男性4人組と遭遇。しばらく一緒に歩かせてもらった。その内の一人が、高校のときに好きだった先輩に顔立ちが似ていた。
 年配の人が、「早く宿に行って酒が飲みたい」「長く歩いたあとに飲む酒は格別」「近くに酒屋はないかなあ」と、頭の中がお酒のことで一杯の様子。人間観察が楽しい。


 本日の宿。なんと、先輩そっくりの人と同じ宿だった。


 宿泊客全員で食事。ドイツ人の男の子もいた。ロビンくんって名前。
 先輩そっくりさんと話がしたかったけれど、日本語がまったくわからないロビンくんが寂しそうにしていたので、お互いに片言の英語でロビンくんと話をした。そのうちに、先に食べ終わった先輩そっくりさんが部屋に戻ってしまった。ああ。
 ロビンくんの次の宿の電話予約を手伝ってあげたりしているうちに、夜が更けていった。

お遍路体験記 36日目 2017年4月12日


 昨日、タイムリミットで辿り着けなかった43番、明石寺(めいせきじ)へ。
 
 寂しい道に入ってしまった。ちょっと怖い。誰も通らないし。でも、誰かと遭遇しても、それはそれで怖い気がする。


 お寺の裏側から到着。


 43番、明石寺。静かでいいお寺だったよ。


 お寺を出て、30分ぐらい歩いたところにある高校に咲いていた桜。こんなきれいな桜の咲く学校にで過ごせるなんて、学生がうらやましい。

 一旦、ホテルに戻り、預ってもらっていたリュックを受け取った。
 ホテルの女性経営者は、江戸時代から続いている漬物屋の女将さんだった方。漬物についていろいろ教えてもらった。話が面白くて長居してしまった。ただでさえ歩くのが遅いのに、この調子では、またしても遅れる。急いでホテルを出た。


 民間の会社が社員用休憩室をお遍路にも開放してくださっている模様。


 本日の宿。

一家離散

 実家がなくなることになりました。
 今まで、姉夫婦が建てた家に両親が住んでいたんだけど、姉の夫は10年ぐらい前に亡くなり、姉の子供3人は巣立っていきました。いろいろ事情があって、家を売り払い、姉と両親がそれぞれ引っ越すことに。
 実家は私の住んでいるアパートから1駅離れたところにあります。にも拘わらず、私はあまり顔を出さなかった。ときどき、飼っているインコと遊びたくて行っていたけれど、そのインコも去年、私がヴィパッサナー瞑想の合宿に行っている間に死んでしまいました。それで、ますます行く理由がなくなりました。
 でも、やっぱり実家がなくなるのは寂しい。事情が事情だけに、仕方ないのだけれど。
 私が生まれ育った元の実家は、とっくの昔になくなっているんだけどね。今の実家を姉夫婦が建てたのは、10年以上前の話。
 最近、両親が好きになってきました。
 昔はいろいろと思うところがあったけれど、今は好きかなぁ。
 両親が老いていくのを見て、命の尊さを考えさせられる。一刻一刻、死に向かっている感じがする。両親だけでなく、私もだけど。
 両親は、また近くに引っ越すみたい。今の実家の建物がなくなっても、私にとっては、両輪が住んでいるところが実家やから、2人が元気で暮らしてくれれば、結果的にはそれでいい。

お遍路体験記 35日目 2017年4月11日


 道の駅にて。たい焼きっぽいオブジェ。


 たい焼きオブジェを眺めながら、ちらし寿司とみかんジュースの朝ご飯。


 41番、龍光寺。お寺なのに、鳥居が立っているという混ぜ混ぜ感が好き。


 30番ぐらいから、ときどき会う70歳のおっちゃんと再会。
 偶然にも、おっちゃんは、私と同じ日にお遍路をスタートしたんだって。つまり、私は70代の方と歩くペースが同じだという……。
「あなたはもうリタイアして帰ったかと思った。だって、歩き始めて数日のころから、かなり足が痛そうだったから」と、おっちゃんに言われた。「根性あるなぁ」と。
 お札の代わりに折り鶴を納めて回っているんだって。私にも1羽くださった。
 目指す場所が一緒なので、なんとなく、おっちゃんと一緒に歩くことになった。


 42番、仏木寺(ぶつもくじ)。


 雨が降ってきたので、お寺の近くの休憩所で一服。おっちゃんに、みかんとおにぎりをいただいた。
 おっちゃんとは、ここでお別れすることに。
 私は歩くのが遅いから、次のお寺へ行くのに納経時間に間に合わなくなると悪いので、先に行ってくれるよう頼んだ。私は、お寺の近くに宿を取ってあるから、次の寺に間に合わなければ、翌朝にお参りするつもりでいるのだ。

 おっちゃんが先に出た。縁があれば、また会うだろう。
 しばらく休憩所でぐずぐずしてから、意を決して歩き出した。
 1時間ほど歩いたところで、前方に見覚えのある人の姿を発見。おっちゃんだった。
 声を掛けようか掛けまいか悩んでいるうちに、追いついてしまった。私の気配を感じて、おっちゃんは「わっ! びっくりした! ぜんぜん気が付かなかった」と。
 再び2人で歩く。


 休憩所でお接待していただいた。このシーズンだけ、ボランティアでお接待活動をされている、とのこと。ありがたく頂戴する。

 休憩所を去り、再び歩き出す。
 16時半。納経時間まであと30分。地図で確認すると、間に合うか間に合わないか微妙なところ。
 おっちゃんに、先に行ってもらうことにした。私は明日の朝、ゆっくりお参りすることに決めた。


 ビジネスホテル着。


 道の駅で買った、いちごとヨーグルトで夕食。

お遍路体験記 34日目 2017年4月10日

 今日も雨。風が容赦なく体にぶつかる。頭に被っている笠が飛ばされそう。


 今日の宿。


「こんにちは。
・お風呂は、早く着いた人から入ってください、入った人が、次の人ように風呂栓をぬいてください。20~30分かかります。
・次の人が風呂をサッと洗って湯を入れて(自動で10分位かかる)入ってください。
・机の上のもの お茶 コーヒー アメ お接待
 レンジ 洗たくき ドライヤー 使用無料
・朝は自由にお帰り下さい」


 部屋でくつろいでいたら、ドアをノックされる。観自在寺あたりから、ときどき一緒になる若い男の子のお遍路さん。食べ物を買ってきたので、一緒に食べませんかと誘われる。
 他にも、自営業のおっちゃん(この人もお遍路さん)がいて、3人でお菓子をつまみながらおしゃべりした。
 自営業のおっちゃんが、「せっかく歩き遍路をしているのだから、ブログでも作ってどんどん情報発信しなさい」と命令してくる。いやいや、人に頼らずに、できることは自分でしようよ、と、心の中で思ったけれど、もちろん口には出さない。

お遍路体験記 33日目 2017年4月9日


 観自在寺の宿坊で勧められた喫茶店にモーニングを食べにいく。
 喫茶店名「めぐみ 腹八分目」。


 お店の名前が「腹八分目」やから、モーニングの量も少ないかな~と思いきや。このボリューム。


 お接待で、炊き立てご飯でおにぎりを握ってくださった。


 国道56号線を、ずううううっと歩く。


 歩行者用のトンネル。風が通ってすごい気持ちいい。トリップ感がある。


 トンネルの中に、海の生き物のイラストがいくつも貼ってある。このトンネル、好きやわぁ。


 温泉施設に立ち寄る。ここの温泉は、海水を沸かしてるんだって。ミネラル豊富で元気が出るよ。


 ビジネスホテルに泊まる。


 温泉施設の売店で買った軽食を晩ご飯にする。